「教材とコンピュータ整備の手引き」(教育新聞社)
昭和27年度に制定された義務教育費国庫負担法に基づき、昭和28年度以降、教材費に対する国庫負担が行われてきたが、教材費予算の顕著な進展はみられなかった。
これは、教職員給与費の増大や施設、設備等の整備が急がれたこともあるが、教材費予算自体が減価償却的な考え方で措置されていたことにも原因があった。すなわち、教材費は制定当時から、教育のために必要な器具・機械・用具・図書・消耗品のうち、一定範囲の教材の主として年々の減価償却費をいうものとして考えられていた。
教材費=減価償却費という考え方は、当時、学校に整備すべき教材の基準がなかったことや教材費の国庫負担制度制定の経緯にも関連する。
そこで、文部省は昭和42年に学校における教材を充実させるために、教材費国庫負担金の大幅な増額を図ることを目指して、学習指導要領にのっとった教育を円滑に実施するために必要な教材をリストアップし、その品目及び学校規模に応じ整備すべき数量を示した「教材基準」を設定した。
そして、「教材基準」に示された品目・数量を義務教育諸学校(全国)で一拳に整備するために必要な経費2,287億円の70%にあたる1,600億円(国庫負担額800億円)の教材を10年間で整備しようとする第1次教材整備10カ年計画が策定された。
この計画は、不均等逓増方式により毎年国庫負担金を増加させ、10年間の累計総額が800億円になるようにしようとするものであり、昭和42年度は対前年度16億円増の44億円が計上された。
また、10年というのは財政上の関係だけではなく、教材基準品の耐用年数を考慮して設定されたものであり、全教材の平均耐用年数をほぼ10年と設定した。
第1次教材整備10カ年計画が、昭和51年度をもって終了したが、第2次教材整備計画は当時、教育課程の基準の改善が図られようとしていたことから、その改善を待って昭和53年度に策定された(昭和52年度は移行措置として134億3000万円(沖縄分、クラブ活動分を含む)を予算計上)。
その整備計画は昭和53年度~昭和62年度までの10カ年で総額4,752億円(国庫負担額2,300億円)の教材を整備するものであった。
この計画は、不均等逓増方式により、毎年度国庫負担金を増加させて、1O年間で総額2,300億円になるようにしようとするものであり、昭和53年度は対前年度16億7千万円増の151億円が計上された。
なお、国庫負担金の累計総額2,300億円が整備総額4,752億円の1/2を超える部分は沖縄分の負担が7.5/10のためである。
また、「技術・家庭」に係る教材については、義務教育費国庫負担制度とは別に、補助制度が設けられ昭和47年度を初年度とする「技術・家庭教材整備7カ年計画」により、その整備が進められたが、この整備計画終了時の昭和54年度からは、義務教育費国庫負担金(教材費)に組み入れ、対象教材の見直しを図り「教材基準」に追加するとともに、これを第2次教材整備計画の終了時である昭和62年度までの9カ年計画で整備されることとなった。この教材整備総額は94億円(国庫負担額47億2,500万円(整備総額の1/2を超える部分は沖縄分の負担が7.5/10のため)と設定された。
第1次教材整備計画での教材基準は学校において基礎的に備える教材の整備であったが、第2次教材整備計画においての教材基準は学校において標準的に必要と考えられる教材の整備とされた。